TESS
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TESSは、NASAのエクスプローラー計画で打ち上げられた宇宙望遠鏡。ケプラー宇宙望遠鏡の400倍の面積をトランジット法を用いて観測することで太陽系外惑星を探索することをミッションとする[6]。名称は、英語の Transiting Exoplanet Survey Satellite のアクロニム。2018年4月18日、ファルコン9ロケットで打ち上げられ、公転周期が13.7日の地球周回軌道へ投入された[6][2][7][8][9]。ファーストライトは2018年8月7日に実施、同年9月17日に公表された[1][10][11]。
地上で整備中のTESS | |
任務種別 | 宇宙望遠鏡[1][2] |
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運用者 | NASA / MIT |
COSPAR ID | 2018-038A |
SATCAT № | 43435 |
ウェブサイト | tess tess |
任務期間 | 計画:2年 経過:6年, 1ヶ月, 1日(進行中) |
特性 | |
バス | STARバス-2/750[3] |
製造者 | ノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズ |
打ち上げ時重量 | 362 kg (798 lb)[4] |
寸法 | 3.7 × 1.2 × 1.5 m (12 × 4 × 5 ft) |
消費電力 | 530ワット[4] |
任務開始 | |
打ち上げ日 | 2018年4月18日22時51分31秒 UTC[5] |
ロケット | ファルコン9ブロック4(B1045.1) |
打上げ場所 | ケープカナベラル空軍基地 SLC-40 |
打ち上げ請負者 | SpaceX |
軌道特性 | |
参照座標 | 長楕円軌道 |
体制 | 高軌道 |
軌道長半径 | 240,000 km (150,000 mi) |
離心率 | 0.55 |
近点高度 | 108,000 km (67,000 mi) |
遠点高度 | 375,000 km (233,000 mi) |
傾斜角 | 37° |
軌道周期 | 13.7 日 |
MIDEX |
TESSは、2年間の主ミッションの過程で、目標とされた恒星の周囲を公転してトランジットを起こす太陽系外惑星を約1250個検出する見込みであった。また、さらに最終的には観測領域内にある他の恒星の周囲を公転してトランジットを起こす太陽系外惑星を13,000個検出する見込みである[12]。2023年12月21日までの時点で、TESSは7027個の太陽系外惑星候補を発見し、そのうち415個がこれまでに確認されている[13] 。1年目の運用を終えた2019年7月18日、南側の観測が完了し、北側の観測が開始された。2020年7月4日に北側の観測が終了して主ミッションは終了したが、その後最初の延長ミッションに移行して引き続き観測を行った。最初の延長ミッションは2022年9月に終了し、TESSはさらに3年間続く2回目の延長ミッションに入り観測中である[14]。
2年間にわたるTESSの主ミッションの目的は、太陽系外惑星を発見するために、地球の近くに存在する明るい恒星を観測することである。TESSは、広視野カメラを使用して全天の85%に及ぶ観測を行う。TESSによって、ハビタブルゾーンに存在する岩石惑星を含む、小さな惑星の質量、大きさ、密度、軌道を調査することが可能である。TESSは、2021年打ち上げのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のみならず、将来の他の地上あるいは宇宙からの大型望遠鏡による更なる特性評価の対象となる天体も調査する。地上に設置された望遠鏡を使用した以前の観測では主に巨大な太陽系外惑星が発見され、ケプラー宇宙望遠鏡は主に遠くに存在する恒星の周囲を公転する惑星を発見したが、TESSは地球から近い恒星の周囲を公転する小さな惑星を多く発見する。TESSは、トランジットを起こす惑星を持つ近くて明るい主系列星を観測する。これは、詳細な調査を行う対象としては最も好ましいものである[15]。
TESSの地球周回軌道は軌道離心率の高い楕円軌道であり、遠地点はほぼ月と同じ距離で近地点は108,000kmである。TESSは、月が地球の周囲を1周する間に、地球の周囲を2周する。これは、月と2:1の軌道共鳴となっており[16]、軌道は最低10年間は安定すると予想されている。
Googleからのシードマネーを受けてマサチューセッツ工科大学が運用しており[17]、2013年4月5日にNeutron Star Interior Composition Explorer(NICER)と共にNASAによって打ち上げに選ばれたことが発表された[18][19]。