三次曲線
ウィキペディア フリーな encyclopedia
数学において、三次曲線(さんじきょくせん、英: cubic plane curve)とは以下のような三次方程式によって定義される代数曲線である。
ここでは射影平面上の斉次座標、またはアフィン空間の非斉次座標でz = 1とした座標で、Fは三次の斉次多項式、すなわち以下のような0でない三次単項式の線形結合とする。
これら10個の項から成ることより、三次曲線は任意の可換体K 上で9次元の射影空間を成す。また三次曲線Cを満たす1点Pは1つの線形条件を課す。したがって9つの点を通る三次曲線はただ一つに決定される。 5つの点で決定する円錐曲線と比較してみると、2つの三次曲線が9つの点を通るならば、それらは束を成し、さらなる性質を持つこととなる(英語版:Cayley–Bacharach theorem)。
三次曲線には特異点を持つものもあり、射影直線におけるパラメトリック方程式となる。一方、 特異点を持たない三次曲線は複素数のような代数的閉体上に9つの変曲点を持つ[1]。これは、三次曲線を再定義するヘッセ行列の同次座標をCと交差させることにより示すことができる(ベズーの定理)。しかし、これらの点のうちは実射影平面上にあるのは3点だけであり[2]、他の点は実射影平面上で曲線を描いても見ることはできない。特異点を持たない三次曲線の9つの変曲点は、そのうちの2つを通るすべての直線がちょうど3つの変曲点を含むという性質を持っている。
実射影平面上にある変曲点はニュートンによって研究され、非特異な三次曲線の実点が1つか2つの「オーバル」を通ることが発見された。 これらのオーバルのうちの1つは、すべて射影直線を横切るので、ユークリッド平面に描いたときには見ることができず、3つの実変曲点を含む、1本または3本の無限の分岐として現れる。もう1つのオーバルは、存在するとしても、変曲点を含まず、オーバルか2つの無限の分岐のように見える。 円錐曲線の断面の様に直線はオーバルを最大2点で切断する。
非特異な三次曲線はK上の楕円曲線でもある。楕円曲線は普通、ワイエルシュトラスの楕円関数を変形したもので研究されており、三次関数の平方根で作られた有理関数上で定義されている。これはワイエルシュトラス標準形の無限遠点としてはたらくK-有理点に依存する。Kが有理数体のとき多くの三次曲線はそのような点を持たない。
尖点や二重点など、特異的な三次曲線の特異点は限られている。 そのような3次曲線は、2次曲線と直線、または3つの直線に退化する。したがって2次曲線と直線の場合は、2つのニ重点または 二重尖点(en)、3つの直線の場合はまたは3つのニ重点か1つの三重点(共点)を持つ。