半七捕物帳
岡本綺堂による日本の小説 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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この項目では、岡本綺堂による時代小説について説明しています。
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『半七捕物帳』 (はんしちとりものちょう) は、岡本綺堂による時代小説で、捕物帳連作の嚆矢とされる。
時は明治時代。かつて江戸の岡っ引として化政期から幕末期に数々の難事件・珍事件の探索に関わり、現在は隠居の身の半七を、新聞記者の「わたし」が訪ねて茶飲み話のうちに手柄話や失敗談を聞きだすという構成で、旧幕時代の風俗を回顧しながら探偵小説としての謎解きのおもしろさを追求する趣向の小説である。作中で「捕物帳」とは、町奉行所の御用部屋にある当座帳のようなもので、同心や与力の報告を書役が筆記した捜査記録をさしている。
近代日本における時代小説・探偵小説草創期の傑作である。1917年(大正6年)に博文館の雑誌「文芸倶楽部」で連載が始まり、大正年間は同誌を中心に、中断を経て1934年(昭和9年)から1937年(昭和12年)までは講談社の雑誌「講談倶楽部」を中心に、短編68作が発表された。他に、半七の義父である吉五郎親分を主人公とする中篇『白蝶怪』があり、しばしば番外編として扱われる。68作の中にも他人が解決した事件の手伝い、あるいは過去事件の伝聞などとして半七がほとんど、あるいは全く登場しない事件が数話存在するが、いずれも半七老人が語り始める導入部となっているのに対し、『白蝶怪』は末尾に1行、半七に関わる但し書が添えられただけの完全三人称小説であり、シリーズに含めて数えないことが多い。
また、綺堂の別作品『三浦老人昔話』は、半七の知人・三浦の話を本作『半七捕物帳』の語り手である「わたし」がやはり聞き書きしたものという構成を取っており、本作のスピンオフ的作品の色が濃い[1]。